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2005.11.12 (土)

「 小泉新体制初の大仕事は対中・対米外交への取り組み 自らを鍛える好機ととらえよ 」

『週刊ダイヤモンド』    2005年11月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 616

10月31日の小泉純一郎首相による内閣改造は、奇をてらわない比較的まともなものだった。ただ、気にかかることはある。

今、日本の課題は、なんといっても外交である。なかでも深刻なのが、対中および対米外交だ。中国との関係では靖国神社参拝と東シナ海の天然ガス田の問題がある。前者は、中国が日本攻撃の政治カードとして用いてきたいわば理不尽な要求である。にもかかわらず、小泉首相は秋の例大祭で、かたちばかりの、否、かたちにもなっていない参拝をして、かろうじて“年一度の参拝”という自身の公約を果たした。

礼を失したこの美しくない参拝に対しては、参拝したという前向きの評価より、屈辱という後ろ向きの評価が強い。家族や故郷、国家のために戦い亡くなった軍人、戦いで犠牲になった民間人を慰霊することは、国の代表としての当然の責務だ。その責務をいかに誇り高くまっとうするかが問われている。外務相で次期総理候補の一人、麻生太郎氏はこの点大丈夫か。

東シナ海の資源問題については、別のことが特に気にかかる。所管大臣の二階俊博経済産業相は、名立たるチャイナスクールである。江沢民が国家主席だった頃、二階氏は自身の選挙区の和歌山県のみならず、全国に江沢民の銅像を建立しようとして、運動を推進した人物だ。

また、王毅駐日大使は昨年11月13日、二階氏の地元、和歌山県高野山で二階グループの研修会に招かれ、靖国参拝への厳しい批判を交えて講演している。王大使は二階氏と同じ宿坊に泊まったと報じられたが、大使が一政治家グループの会合に泊まりがけで参加することは、きわめて珍しいだろう。二階氏の中国派としての面目躍如だが、日本の国益にとってこのような人物の経産相就任、東シナ海問題の所管は憂慮すべき事態となりかねない。
対米関係は今、普天間飛行場の返還に伴う基地移転をめぐって、まさに危機的状況だ。同問題について1996年の橋本龍太郎内閣のときに日米で合意し、日本は閣議決定でこれを定め、5~7年以内に名護市の辺野古の沖合に新たな施設を作ると確約した。だが、問題はその後こじれにこじれて、過日、キャンプ・シュワブの基地の中に、一部海上に突き出すかたちで滑走路を建設することに、日米両政府は合意した。

その途端に、沖縄県が拒絶のコメントを出した。辺野古の沖合なら受け入れるが、別の場所は「絶対に」ダメだという。これまでに、基地移転に伴って辺野古の位置する沖縄県北部の産業振興および開発には数千億円の予算が国からつぎ込まれたが、その点に、沖縄県は留意もしない。

沖縄県は普天間の移設を、沖縄県の負担軽減と基地受け入れの見返りの視点からのみ論ずる。日本国としては、沖縄県の負担軽減に留意しながらも、日米同盟の維持、とりわけ米軍の再編に最大の注意を払いながら、いかにして中国をはじめとする周辺核保有諸国の脅威に備えていくかを考えなければならない。

沖縄県の拒否反応に対してはまず、彼らに正面から、国の安全保障と沖縄県の地政学上の重要性を説くことが必要だ。これまでのように、沖縄県に対してその場しのぎの妥協や言い訳をしてはならない。もし、そうすれば、沖縄県がその隙を突くことは間違いないだろうから。

沖縄県が一国平和主義ならぬ一県平和主義に陥らないよう理を説いたうえで、沖縄県の基地負担軽減の具体策を出さなければならない。小泉政権に欠落してきた外交、安保を固める重責に、額賀福志郎防衛庁長官、麻生外相らは挑戦しなければならない。これらすべての難問のまとめの要となる安倍晋三官房長官にとっても、自らを鍛える好機である。

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